人事なら知っておくべき法律シリーズ①〜労働基準法とは?〜

労働基準法は、労働関連の法令の中でも基本かつ重要な法令ですが、その内容を把握できていますか?
法令が難しい言葉で書かれていて、読んだだけになっていませんか?そうなってしまうと決まりを守れていないということで法令違反になる恐れもあります。
今回は労働基準法を分かりやすく解説していきます。人事担当者はこれを読めば人事に必要な労働基準法について理解できるでしょう。

目次

 

そもそも労働基準法って何のためにあるの?

労働基準法とは誰もがしっかり働けるように労働条件の最低基準を設定した法律の1つです。昔の労働環境は現在の環境とまったく異なっており、労働環境は決して良かったと呼べるものではありませんでした。それを改善するために生まれた法律がこの労働基準法であり、この労働基準法を守れないような契約であるとその契約は無効となり、基準法の基準を満たすまで引きあげられます。
もちろんこの法律はパートやアルバイトのような非正社員にも適応されるため、基本的には日本国内における全労働者の権利を守るためにあるといっても過言ではありません。このため経営者はしっかりこの労働基準法について把握しておきましょう。

労働基準法〜知っておくべき総則について〜 

[第1条 労働条件の原則]
労働条件は労働者が最低限の生活できるような生活ができるものでないといけません。加えて、最低限の生活を目指す訳ではなく、これを常に向上できるものでないといけないようになっています。そのため、労働条件を向上することはあっても決して低下させてはいけません。

[第2条 労働条件の決定]
労働条件の決定においては企業と労働者の立場が対等でないと決定してはいけません。また、決定した事項は企業側も労働者側も守っていく必要があります。 

[第3条 均等待遇]
企業側は労働者を国籍や家柄や宗教などで賃金と労働時間、福利厚生などの待遇などを変えてはいけません。
女性の場合は産前産後休暇などの福利厚生が設けられるため、均等待遇の対象ではありません。ただ、男女同一賃金の原則により賃金は同じでなければなりません

[第4条 男女同一賃金の原則]
第3条で説明したように女性であるという理由で企業は女性の賃金を男性よりも低くしてはいけません。仕事内容で賃金を分けることには問題はありませんが、仕事内容が同じであるのに女性だからという理由では下げてはいけません。余談になりますが、女性が活躍できないような職場だと今後人手不足になっていくのでしっかりここは守っていきましょう。 

[第5条 強制労働の禁止]
強制労働の禁止企業側は労働者を脅したり、監禁したり、暴力によって無理やり労働をさせてはいけません。

[第6条 中間搾取の削除]
法律で認めらいる場合以外で企業に属してしない第三者を働かせて利益を得てはいけません。例えば、許認可を政府から取らないまま、人材を企業に紹介して手数料や仲介料をとることがあげられます。つまり、勝手にリファラル採用を進めてはならないということです。もちろん、役所から許可をとった上で人材採用を行い、報酬をもらいましょう。許可を取るのが大変と思っている方は政府から認可がおりている「転職エージェント」のような紹介サイトを利用するのも法を犯さない1つの方法です。2つ目の例としては、認可をもらっている派遣会社ではないのに他の企業に自社の社員を働かせて会社から受け取った代金をピンハネしてはいけません。主にこの2つに注意しましょう。

[第7条 公民権行使の保証]
労働者が選挙権やその他の公民に必要な権利、公民に必要な権利(住民投票・栽培院制度による国民裁判員など)を行う際には、企業はそれに対して拒否をすることができません。ただ、それを行う際に支障がなければ、社員が申し出た時間帯を変更することが可能です。仕事が優先だという理由で、それらを拒否することはできないため注意してください。

労働基準法〜知っておくべき労働契約について〜 

第13条 労働基準法違反の契約
たとえ労働者側が了解していても労働条件が労働基準法に違反していたら、その契約内容は無効になり、労働基準法が適応されます。労働者側が許可しても、違反していることに変わりはないので、決してそのまま進めないようにしてください。 

第14条 契約期間
契約期間を決めて労働者を雇用する場合は、その雇用契約期間を3年以内にしなければいけません。ただ例外があります。契約のうちに事業が終わるまでの雇用と書かれていれば、その事業が終わるまでの雇用となります。次に厚生労働大臣が指定した業務、資格を持っている業務の人たちの場合は5年間までは認められます。また60歳以上の方も最長5年までです。ただ、一度契約期間を決めたあと、その期間よりも短い期間で解雇することは余程のことがない限りできません。 

第15条 労働条件の明示
企業側は労働者に対して、賃金や労働時間や他の厚生労働省が定めた労働条件を書面でもって定めなければいけません。その構成労働者が定めて労働条件は下記のようになっております。

  1. 労働契約の期間に関する事項
  2. 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  3. 賃金(退職手当及び第5号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  4. 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
  5. 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第8条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
  6. 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
  7. 安全及び衛生に関する事項
  8. 職業訓練に関する事項
  9. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  10. 表彰及び制裁に関する事項
  11. 休職に関する事項

1.-2 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
4.-2 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

以上のものと賃金や労働時間をしっかり書面に記しておきましょう。

第19条 解雇制限
労働者が仕事による怪我や病気にかかってしまった場合、企業側はその労働者が休んでいる期間とその期間が終わった後の30日間は解雇してはいけません。

第20条 解雇予告
労働者を解雇する際は解雇する30日前までには解雇を予告しなければなりません。もしくは30日期間以上分の給料(平均賃金)を支払う必要があります。その際30日分支払わなくても、平均賃金を支払った日数分だけその日数を短縮することができます。 

第23条 金品の変換
社員が退職して金品の請求をしてきた場合と、社員が死亡して遺族が金品を請求してきた場合は就業規則に期間を記載している場合以外は7日以内に支払う必要があります。急な対応ですが、これには応じなければいけません。

労働基準法〜知っておくべき賃金について〜

第26条 休業手当
企業の都合で労働者を休ませる時の賃金に関しては無給ではなく、支払っている賃金の60%は労働者に支払わなければなりません。企業の都合の例をあげると、顧客がいないときや製造業で製造機会が壊れているため労働者が仕事ができない状態のことをさします。 

第37条 残業手当
残業手当は企業側が労働者に時間外営業や休日に労働をさせた場合に、通常の賃金に加えて、割増賃金を労働者を支払わなければいけません。1週間の労働合計時間が40時間以上、または1日の労働時間が8時間以上の場合は超えた時間に1.25倍分支払い、週一回の休日出勤に関しては1.35倍支払う必要があります。また1ヶ月の時間外労働が60時間を超えた部分については、5割増の割増賃金を払う必要があります。

→また深夜勤務に関しても割増賃金を支払う必要があり、25%増しになっています。アルバイトなどで「深夜勤務は時給アップ!」など書かれていますが、しっかりどの程度賃金が上がるかなど平均賃金とわけて書いた方がおすすめです。

労働基準法〜知っておくべき労働時間、休息、休日及び年次休暇について〜

[第34条 休憩時間]
企業側は労働者に6時間以上の労働を続けたら45分の休憩時間を、8時間を超えた場合は1時間の休憩時間を与える必要があります。1時間の休憩は、労働が8時間を超えた場合なので、8時間ちょうどで仕事を終えた場合には、休憩時間は45分となります。

[第35条 休日]
どの労働者に対しても必ず最低限週1回は休日を与えなければいけません。ただ例外として4週間ごとに4日以上の休暇があれば週1回の休日を与える必要はないです。しかし、この4週間とは月が変わっても認められますが、1ヶ月と設定することはできませんので注意が必要です。

[第39条 有給休暇]
企業側は労働者が雇用された日から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、10日分有給休暇を与えなければこちらを与えなければなりません。(参考1)
→また、パートタイムの労働者に対しても有給休暇を与える義務があります。

スクリーンショット 2018-11-12 16.13.08  (参考1)

注意すべき点〜休暇期間のなかにも出勤したことに含まれるものがある?〜

ここで注意しなければならない点は休暇期間の中にも出勤したものとみなし、出勤率に含めなければいけないものがあります。それがこちらです。

 

  • 業務上負傷または疾病にかかったことによる休業
  • 介護休業
  • 育児休業
  • 産前産後の休業期間
  • 有給休暇

出勤率の計算をする際はこれらの項目を出勤したとみなさなければなりません。それを怠ることで法律違反とみなされてしまいます。出勤率の計算は有給休暇の日数を算出する際に必要です。

労働基準法〜知っておくべき妊産婦について〜

[第65条 産前産後休業]
企業は6週間以内(双子以上の場合は14週間)以内に出産の予定がある女性労働者に休業を請求された場合はその人に働かせてはいけません。また産後に関しては請求されてなくても、産後8週間は働かせてもいけません。ただ、医師から支障がないと診断された場合は6週間後から働かせることが可能です。妊娠中の業務なので、きつい業務ではなく、負担が少ない業務に従事させないといけません。

労働基準法〜知っておくべき就業規則について〜

[第89条 作成及び届け出の義務]
企業の社員数が10人以上の場合、必ず就業規則についての届け出を労働基準監督署長に出さなければなりません。ここで何を書けばいいのと疑問に思う方もいらっしゃると思うので次に就業規則に必要な項目をまとめておきました。

 

  • 始業及び終業の時刻
  • 休憩時間
  • 休日(週のなかでどこを休めるのか)
  • 休暇(有給休暇、育児休暇など)
  • 交代勤務がある場合はその交代勤務について
  • 賃金
  • 賃金の計算、支払い方法、いつ払うかなど
  • 退職について
  • 退職手当について
  • 臨時の賃金や最低賃金の設定について
  • 労働者が負担する金額について(食費や作業用品など)
  • 安全や衛生について
  • 職業訓練について
  • 災害補償について
  • 業務外の疾病の扶助について
  • 表彰
  • 制裁
  • 他に全労働者が関わることについて

以上

もちろんこれらを全てまとめるとなるとかなりの労力と時間がかかってしまいます。その時は専門家に依頼するのも一つの手段でしょう。

[第90条 作成の手続き]
第89条で作成した就業規則を作成、または変更する際に労働組合か労働組合がない場合は労働者の過半数を代表数する従業員代表(最高責任者ではありません)に意見を聞く必要があります。その際に聞いた意見の内容を書類にまとめて就業規則と一緒に添付することが義務づけられています。 

[第91条 制裁規定の制限]
もし労働者が不祥事を起こして減給する場合、不祥事1回につき1日分の平均賃金の半額まで下げられます。複数回不祥事を起こした際の減給に関しては賃金の総額の1割までになっています。ただ不祥事を起こして10%よりも大きな額になってしまった場合は、次の月に越した分を減給することが可能です。例をあげると20%分不祥事を起こしてしまった場合、10%をその月減給して、その次の月に余りの10%減給することになっています。ただ取締役は例外で自主返上という形で一気に20%減給することも可能です。

まとめ

いかがでしょうか?今回は必要な人事担当者だったらぜひ知っておいてもらいたい労働基準法の項目をまとめました。法律関係は理解するのに苦労しますが、一度理解してしまえばあなた自身の企業を違反から守ることができます。労働基準法をしっかり守ってよりより企業を目指してください。

人事担当者が知っておくべきことは労働法だけじゃない!

近年HR界で大変革が起きていることを知っていますか?
働き方改革、新36協定、就活ルール撤廃等、様々な変化が起きています。
人事担当者にとって、基本的な労働法だけでなく、刻一刻と変化するトレンドを抑えることも重要です。

しかし、一口に「採用トレンド」といっても、新しい採用が蔓延る中、本質的な採用トレンドを見極めるのは至難の技ではないでしょうか。

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