就活ルール廃止で雇用体系はどうなる?

先日、経団連会長がいわゆる就活ルールを廃止する意向を示しました。就活ルールは新卒採用のみならず、採用後の雇用体系についても大きな影響を与えているものです。今回は就活ルールが採用だけでなく、雇用体系にもどのように影響を与えると予想できるかについて見ていきましょう。

就活ルール、それすなわち新卒一括採用

そもそも就活ルールは1953年に始まり、以来65年間日本の新卒採用の根底にあります。就活ルールは企業のスケジュールにある程度の制限を設けることで、日本国内の多くの企業が横並びで新卒採用を行うように意図して設定されています。したがって多くの企業が同じような時期に新卒採用を行うことになり、こうして新卒一括採用は完成しました。

新卒一括採用は雇用体系と密接な関わり

新卒一括採用は大正初期や高度経済成長期などの好況期に優秀な人材を確保するために、日本型雇用の一環として設定されたものです。日本型雇用とは、ある時期に一括して多くの新卒者を採用し(新卒一括採用)、「年功序列」「終身雇用」をもって社内で新卒者を”育て上げる”という考え方です。労働経験のない新卒者を雇うには、日本企業の場合新卒者が「どれぐらい成長しそうか」というポテンシャルを見極めて採用する必要があります。ポテンシャルに期待して研修などを行うことで社内での成長を求め、そうして成長した人材を年功序列と終身雇用をもって定着させるのです。このようにして生涯1社で勤めあげる、という日本型雇用が完成するのです。

したがって新卒一括採用と雇用体系は密接に関わり合っているため、就活ルールの廃止によって雇用体系にも変化が生じることは不可避です。

日本の雇用は職能型

就活ルールの廃止によって影響を受けるのは終身雇用・年功序列制度だけではありません。職能型雇用についても少なからず影響を与えることは必至です。日本型雇用は人材の能力に応じて仕事を与えて給与を払う、つまり人材先行で考えるという職能型です。一方で海外では仕事のサイズに応じて人材を割り振り、給与も仕事のサイズに応じて支払われる、つまり仕事サイズ先行で考えるという職務型です。

現在の日本では職能型が一般的ですが、就活ルールの廃止によって新卒一括採用が崩壊すれば通年採用が一般的になり、より流動的な採用が可能になります。通年採用によって常に人材を補充したい役職に人材を補充できるようになります。そうなると役職に対して人材を当てはめていく、という仕事サイズ先行の考え方にシフトしていきます。したがって現行の職能型から、職務型にシフトしていくことでしょう。

 

※世界基準が良いとも限らない?

日本は元々は江戸時代の職人を見ればわかるように、職務給のような雇用でした。ところが戦後は高度経済成長期に入り、新生児の数も大幅に増加し、職能給の方が時代・経済成長に合っているということで職能給にシフトしました。つまり、元々は職務型でしたが、経済成長のために職能給に方向転換させたのです。確かに世界基準で見てみれば職務給の方が一般的であり、日本はその点異質とも言えます。しかし周囲を取り巻く環境によっては職能給の方が適しており、世界基準が絶対的に良いとも限りません。また、業種によって職務型と職能型のどちらが適しているかは様々です。

【関連記事】職務給と職能給~中途採用・転職者をつかむ評価制度とは~


 

「では、就活ルール廃止により、日本の雇用はどうなるのか?」

終身雇用・年功序列制度からの脱却

就活ルールの廃止によって、終身雇用・年功序列制度は崩れることでしょう。現段階でも、日本でも転職サイトやダイレクトリクルーティングが隆盛し終身雇用や年功序列といった概念は崩れていますが、徐々に日本でも転職が珍しくなくなっています。就活ルールの廃止によって、日本型雇用の特徴である終身雇用・年功序列制度の崩壊はより加速化することでしょう。現段階でも優秀な人材は終身雇用・年功序列制度に見切りをつけ、日本での仕事に見切りをつけ、海外へ出ていく人材も少なくありません。本当に就活ルールの廃止は、そんな人材の流出に歯止めをかける機会になるのではいないでしょうか。

日本的発想:終身雇用

先述の通り現行の日本型雇用は戦後に完成したものでした。終身雇用制度は「会社のために勤め上げる」発想の下に浸透していた制度であり、極めて日本人的な精神が垣間見えます。しかし終身雇用は言わば安定を求めた志向であり、変化の激しい業界には相いれない雇用形態と言えます。就活ルール廃止を唱えている経団連会長もこの点について言及しており、今後より変化の激しくなるIT産業などにおいて終身雇用という考え方はナンセンスであり、市場からの要望に経団連が応える形となります。終身雇用という考え方は今後ますます衰退していくことでしょう。

職能型→職務型への移行なるか?

就活ルールが本当に廃止されれば、現行の職能型から職務型への移行が生じることも想定されます。しかし現段階でも職能型から職務型への移行に取り組んでいる企業はありますが、完璧な移行はなかなか難しいようです。急激な移行は何より社内での混乱を生じさせます。就活ルール廃止後、新卒社員は職務型ベースでの採用を行ったが、既存社員は職能型ベースでの採用であるという事態も想定されるため、移行には新卒社員と既存社員のどちらに対しても上手く機能する綿密なプランが必要です。また自社にとって本当に職務型が相応しいのかどうか、むしろ職能型のままの方が良いのではないか、と一度考えてみることも重要です。完全に職務型に移行するのではなく、部署によっては職務型だがある部署は職能型、などのパターンもあり得ます。

就活ルール廃止を、自社の雇用を見直すきっかけに

就活ルールの廃止によって、これまで見直す機会が少なかった雇用体系について、考えるきっかけになるのではないでしょうか。就活ルールの廃止は上記に述べた様々な影響をもたらす一方、新卒採用市場においてより流動的な採用が可能になり、新しい可能性をも伴っています。

就活ルール廃止後、即座に雇用体系に変化が起きる可能性は未知数ですが、長期的視点で捉えると就活ルールの廃止によって職務型への移行が促されるのではないでしょうか。

ぜひ今一度、自社の雇用体系を見直すきっかけにしてみてください。

 

Written by 採用GO 編集部 藤原

 

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