人事なら知っておくべき法律シリーズ③~労働者災害補償保険法とは~

企業は従業員の労働災害に備える必要があり、人事担当者にとって労災保険の知識は必要不可欠です。今回は労災保険と密接に関係している、労働者災害補償保険法についてまとめていきます。

労働者災害補償保険法とは

労働者災害補償保険法とは、労働災害が起きた際の労災保険(労働者災害補償保険)を規定する労働法です。労働災害とは労働者が通勤中・業務中の事故・災害などによって、死亡したり、怪我を負ったり、障害が残ったり、病にかかったりした場合を指します。労災保険とは労災を被った従業員及びその家族の生活の安定を保障するものであり、雇用形態に関係なく、従業員を1人でも雇っている企業は原則として加入義務があります。

労災保険の適用範囲

労働災害の適用範囲は従業員の通勤中(通勤災害)と、業務中(業務災害)です。

この場合の通勤とは職場・住居間を、合理的な経路及び方法で往来している状況を示します。通勤災害が認められる判断要件としては、「就業と直接的な関連性が認められるかどうか」です。例えば「出勤途中で交通事情で遅刻しそうになったため、会社に連絡をして有給取得し、自宅へ引き返す途中で被災した場合」は、自宅へ引き返す行為に就業との直接的な関連性が認められないため、通勤災害として認定されません。

業務災害とは、本来の業務や、業務に通常付随する行為が原因で生じた死亡・負傷・障害・疾病を示します。社外での懇親会など、業務として強制されない場合については業務災害として認められません。また、災害と業務との直接の因果関係を証明し難い場合(過労死・自殺など)についてはあまり認定されてきませんでした。しかし、近年は業務災害として認定されるケースも増えています。

重要ポイント

労働者災害補償保険法は54条で構成されており、ここではその中から重要ポイントとなる4点をまとめていきます。

 

・特別加入制度

特例加入制度とは、業務の実情や災害の発生状況などから見て、中小事業主等についても一般労働者と同様に保護され、労災保険への任意加入が認められているものです。

・療養補償給付

療養補償給付とは、従業員が業務上負傷し疾病にかかった場合に、原則として労災指定病院等で傷病が治癒するまで無料で療養を受けられる、というものです。療養補償給付では、治療費は病院から労働基準監督署長に、直接請求されます。

・休業補償給付

休業補償給付とは、業務上の負傷や疾病により療養期間中に働けない場合に受けられる制度です。休業補償給付は休業4日目から支給されます。したがって最初の3日間については事業主が休業補償を行う必要があります。

・二次健康診断等給付

二次健康診断等給付とは、労働安全衛生法に基づいた直近の定期健康診断(一次健康診断)において、「脳・心臓疾患」に関連するすべての項目に異常が認められた場合に、労働者の請求に基づいて受けられるものです。

 

費用はどこから?

労災保険は政府が運営しており、原則として全事業に強制適用されます。労災保険に要する費用は事業主の負担する保険料と国庫負担金によって賄われています。

 

請求手続きにおける事業主の義務

では、実際に従業員が労災保険給付の請求手続きを行った場合、事業主にはどのような義務があるのでしょうか。

従業員が請求手続きを行うにあたり、労災の発生日・災害の原因と発生状況などについて、事業主の証明が必要になります。事業主は従業員に証明を求められた場合には、速やかに証明する義務があります。また、従業員が請求手続きを行うのが困難な場合には、請求手続きの助力を行う義務があります。

しかし請求内容に異議がある場合には、意見を申し述べることができます。異議がある場合には所轄労働基準監督署長に意見を申し述べるようにしましょう。

 

+αで知っておくべき:法定外補償制度

法定外補償制度とは、労災補償給付とは別に、企業が独自の立場から補償給付の上積みを行う制度です。

労災補償給付では、被災者家族の生活が十分には維持できないのが現状です。労災保険や公的年金だけでは納得しない被災者やその家族も多く、事業主に高額な損害賠償を求めるケースも増えてきています。法定外補償制度は任意の制度であるため、導入するかどうかは自社判断に委ねられていますが、リスクに備え、法定外補償制度の導入をおすすめします。

 

まとめ

いかがでしょうか。人事に携わるみなさんとしては、実際に労働災害が起きる前に、労働者災害補償について理解しておく必要があります。労働者とのトラブルを防ぐためにも、ぜひ頭に入れておくとよいでしょう。

 

Written by 採用GO 編集部 藤原

 

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