【2020年4月施行】労働者派遣法~人事が知っておくべき法律シリーズ⑨~

皆さん労働者派遣法についてどれくらいご存知でしょうか?労働者にとっては多様な働き方・企業にとっては柔軟な人員確保のために生まれた特殊な雇用形態なので、細かいルールも多い労働者派遣事業。近年は派遣労働者の福祉や雇用の安定、キャリアアップを担保しやすい法改正が行われています。派遣先企業として派遣元企業や派遣社員とどう向き合うべきなのか。今「2018年問題」と話題になっている労働者派遣法について派遣先の企業が気を付けるべきポイントに絞ってまとめてみました。

1. 労働者派遣法とは

まずは労働派遣法の成り立ちや改正の流れ、最新の派遣労働者にまつわるトレンドといった、実務と少し離れたマクロな基本情報について紹介します。

① 成立過程や改正の流れ

労働者派遣法とは、文字通り派遣事業の適切な運営と派遣労働者の保護を目的とする法律です。

1986年に成立した派遣法は当初高度専門業務のみを対象としていましたが、景気低迷による人件費削減や人材派遣のニーズの高まりを受けて徐々に対象業務の拡大や自由化がすすめられてきました。

2012年の改正労働者派遣法は、派遣労働者の保護を主な目的として成立したという点で一つの大きな転機といえるでしょう。能力や働き方・業務量に合った賃金待遇や、教育・福利の機会の均衡に対する配慮を求める内容が増えました。当時派遣切りが社会問題となっていたため、日雇い派遣の原則禁止や無期雇用への転換の推奨・契約内容の説明や情報開示がすすめられました。

2015年の法改正では労働者派遣事業が全て許可制となりました。さらにキャリアアップ・均等な処遇・雇用安定措置が強化されています。また、直接雇用推進のため労働者派遣の期間制限ルールが業務内容関係なく一律3年となりました。2015年の法改正の影響は2018年の秋から出始め、「2018年問題」として話題になったのでさらに詳しく知りたい場合はこちらの記事も参考にしてください。

~人事が知るべき「2018年問題」の全て~法改正に伴う注意点とは?新しい契約社員との向き合い方 

 

② 派遣労働とは

平成29年度の労働力調査によると2017年現在全労働者の約2.5%、非正規労働者の約6.6%に当たる134万人が派遣労働者に該当します。かつては特定派遣と一般派遣の二種類がありました。

特定派遣とは届出制で認められた派遣会社の正社員である労働者が派遣先で仕事を行う形です。一般の正社員と同じく月給制をとります。常用型派遣とも呼ばれており安定しているように聞こえますが、主にIT・製造業の分野で3か月などの短期契約を繰り返されるケースが横行していたようです。そのため2015年の法改正を機に2018年10月からすべて許可制の一般派遣、つまり登録型派遣に一本化されました。登録型派遣の方が資本金や責任者の決まりが厳しく、認可のハードルが高くなっています。派遣会社に登録されている労働者は、派遣先がある期間だけ派遣会社・派遣先企業と契約を結び業務を行います。対価は一般的に時給ベースで支払われます。

 

③ 偽装請負に注意を!

労働者が不利益を被った時の責任の所在地を明確にしておくための決まりとして、職業安定法の労働者供給事業の禁止や労働者派遣法二重派遣の禁止があります。請負や業務委託との大きな違いは、指揮命令を受ける対象が派遣先企業であることです。注文先から業務を請け負ったり、業務委託の依頼を受けたりして、雇用主が労働者を指揮して業務を行うのが「請負」「業務委託」です。契約の名称を請負や業務委託としているのにもかかわらず、指揮系統が派遣元ではなく派遣先の企業である場合、「偽装契約」となります。派遣元と派遣先に労働者供給契約があり、派遣元が労働者を確保できないなどの理由で雇用関係がないまま他の事業所に依頼して労働者を派遣することは二重派遣とみなされ、違法です。

 

2. 派遣先として派遣労働者を受け入れるときの流れ

① 派遣元について

厚生労働省職業安定局の人材サービス総合サイトで許可・届け出事業所を確認しましょう。現在労働者派遣事業はすべて許可制となっています。特に先の法改正により、元々届出制で事業を行っていた派遣元から労働者を受け入れることは法律違反となる場合があるので再度確認することをお勧めします。許可を得ていない(旧)特定派遣労働者派遣事業元から継続して派遣社員を受け入れることは違法となります。ただし現在の派遣元が許可申請中であれば経過措置として認められています。派遣元企業が持つ固有の許可番号や届出番号が「特**-******」となっている場合は特定労働者派遣事業だったことを意味するので今一度許可の有無を確認してください。

 人材サービス総合サイト

 

② 受け入れ体制について

派遣法第26条に基づき、派遣元と労働者の供給を依頼する旨の契約を結び、業務内容や待遇、受け入れ人数、労働者管理の責任者などを明記した契約を結びます。派遣先が派遣労働者の選定を行うことは認められていないので、基本的にその条件に基づいて派遣元が労働者を派遣するシステムになっています。第41条では受け入れている労働者が5人以上いる場合、100人につき人事・労務管理の専門知識を持った責任者を一人設けることが求められています。派遣される労働者が決定した場合、具体的な業務内容や勤務時間を明記した「個別派遣契約」が結ばれます。派遣元で36協定が結ばれている場合は、時間外労働を要求できることもあります。派遣労働者の就業期間や労働時間の管理については第42条に基づいて「派遣先管理台帳」を作成し、派遣期間終了後3年間の保管が求められています。

 

③ 契約中断・更新終了について

派遣労働の場合一般的な雇用関係よりも構造が複雑なので、トラブルを防ぐためには、派遣元と派遣労働者それぞれと密な連絡を取る必要があります。

派遣先の都合で個別派遣契約を中断すると派遣元と労働者の関係、労働者の雇用確保に大きな影響を及ぼすため、就業機会の確保・休業手当や賃金保障・派遣元への損害補償などが課せられます。

1年以上あるいは3回以上契約更新している派遣労働者との契約を終了する場合は、事前に告知することが求められています。(いわゆる「雇い止め法理」)契約時に確認することが望ましいですが、トラブルを防ぐために契約終了の1か月前には更新可否の確定をして派遣元・派遣労働者の了解を得るとようにしましょう。

 

④ 更新時には期限制限に注意を

これまではいわゆる26業務(ソフトウェア開発や事務用機器開発、放送・建築業界、翻訳等の高度専門技術)を除き、同一の業務に対して原則1年、最大で3年となっていましたが、現在はすべての業務において最大3年の期間制限が設けられています。原則として1人の派遣社員は同じ事業所に最大3年間派遣されますが、例外として過半数労働組合(あるいは労働者の過半数以上の賛成)があれば3年以内の契約期間の延長が可能です。ただし、この延長期間同じ業務につくことは不可能で、違う業務や課への配属が必要となります。

 

3. その他注意事項

他にも派遣先として注意しておくべき決まりがいくつかあるのでご紹介します。

① 労働契約申し込みみなし制度

以下のような違法な派遣労働者を受け入れた場合、そしてその事実を知らなかったことに過失がないとされる場合を除いて、派遣先がその派遣労働者の派遣元が規定する労働契約を申し込んだとみなされる場合があります。違法状態を改善した後でも1年以内は申し込みを撤回することが出来ないので注意しましょう。つまり、違法な派遣を受け入れた企業も民事訴訟の対象となり、制裁を受ける可能性があるということです。

 

  • 労働者派遣の禁止業務に従事させた場合
  • 無許可の事業主から派遣労働者を受け入れた場合
  • 期間制限に違反して派遣労働者を受け入れた場合
  • 労働者派遣法などの規定を逃れるために偽装請負をした場合

② トラブル発生時には

労災保険が適用するような災害に見舞われた場合は、労働者は派遣元で労災保険に加入しているので、派遣元を通じて労災保険の請求手続きが行われます。派遣先としては現状の把握や休業の状況を所轄の労働基準監督署へ提出するとともに、派遣元に共有しましょう。

ハラスメントや育児・介護休業に伴い、派遣労働者に損失が出ないように派遣先も考慮する必要があります。具体的にはハラスメントの内容や対処を「派遣先管理台帳」に明記する、育児介護休業を理由に派遣労働者の変更を求めることはできない、といったことが挙げられます。

 

③ 派遣労働者への募集情報の提供

1年以上の長期的な契約関係が見込めれる派遣労働者がいる場合、派遣労働者の直接雇用を促進する努力が派遣先にも求められるようになりました。例えば正社員を募集するときは1年以上契約関係にある派遣社員にその募集内容を伝える、3年間継続して同じ組織のメンバーとして業務に携わる見込みがある派遣社員に直接雇用の募集内容を周知する、などです。

 

4. まとめ

いかがでしたでしょうか?雇用関係や責任の所在地が曖昧になって、労働者の立場が危うくなってしまわないように労働者派遣法では様々な取り決めが定められています。この記事が派遣労働者や派遣元との予期せぬトラブルを防ぎ、より良い関係を築く一助になれば幸いです。

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Written by 採用GO 亀川

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