【人事必見】インフルエンザって有給扱い?欠勤扱い?休業手当は出すべき?

2019年1月インフルエンザに感染した女性が駅のホーム下に転落し、電車に轢かれ死亡するという事件が発生しました。これにより、インフルエンザでも出勤しなければならないという企業の体質に対し、SNSを中心に疑問が広がりました。企業はより一層、従業員のことを考えた人材管理をする必要が迫られています。今回は、インフルエンザで従業員が休む場合は有給休暇扱いになるか欠勤扱いになるか、休業手当を支払う義務があるかどうか、また、家族にインフルエンザの人がいる従業員への対処、休職させる期間についてまとめてみました。

有給休暇、欠勤、公休の違いとは? インフルエンザに適用されるのはどれ?


簡潔に説明すると、

有給休暇とは「従業員が事前に申請して出勤日の労働義務を免除し休むこと」

欠勤とは「体調不良などの従業員側の理由により休むこと」

公休とは「企業側の事情により休みとなること」

となります。

従業員がインフルエンザで休むというとき、どの形態が適応できるのかはわかりにくいところもあると思います。それぞれについて、もう少し詳しく説明していきます。

 

有給休暇

労働基準法第39条によると、

「使用者は、雇い入れから6ヶ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に対して、10労働日の有給休暇を与えなければならない。」

と定められています。そのためインフルエンザのために有給を申請してきた従業員に対し、有給を取らせないのは違法となります。

さらに、労働基準法には、

「使用者は、労働者の請求する時季に有給休暇を与えなければならない。請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合は、他の時季に与えることができる」

という記述があります。つまり、繁忙期などで欠員が出てしまうと業務が回らなくなってしまうという時などは、別の時季に有給休暇をとらせることができます。

しかし、変更の時期に関しては従業員との話し合いの上で決めなければなりません。そのため、申請に対して、有給を取れるのがいつになるのかわからないとはぐらかすのは違法となります。

また、有給休暇は労働者の権利であるため、企業側が強制して取らせることはできないので注意しましょう。

 

欠勤

欠勤とは、「体調不良やその他の従業員側の事情により、仕事を休むこと」です。

欠勤者は「労働契約における労務提供義務の不履行者」とされるため、給料の発生はありません

 

公休

公休とは、「企業側の事情により仕事が休みになること」です。つまり、「企業側が定めた休日」と言い換えることもできます。

労働基準法第35条によると、

「使用者は、労働者に対して少なくとも毎週1回の休日を与えなければならない」

「前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適応しない」

と定められています。

この法律によって、「最低でも毎週1日、もしくは月4日」の法定休日が保証されています。企業側が定めた公休のうち、企業が指定した休日のどれかが法定休日とされ、それ以外の公休は法定外休日とされます。例えば、企業側が週2日を公休とすると定めた場合、2日のうちどちらかが法定休日となり、もう一方が法定外休日となります。

公休というのは休日であるため、基本的に給料の発生はありません。しかし、臨時の業務が発生した時には、給料が発生する場合もあります。

 

以上のことをまとめると、従業員がインフルエンザにかかった場合は、「従業員側の事情」により仕事を休むことになるため、基本的に「欠勤扱い」となります。

しかし、従業員が有給休暇を申請したきた場合は、有給休暇扱いにして対処することが可能です。そうはいっても、従業員が有給休暇を使い切ってしまっていた場合や、入社して日が浅く、まだ有給休暇を使えない場合は「欠勤扱い」として対処してしまってよいでしょう。

 

休業手当を出さなければならない場合とは?

インフルどうしよ-1 

上記でお伝えしたように、インフルエンザにかかった従業員は基本的に欠勤扱いとすることが可能です。しかし、季節性インフルエンザの診断を受けた従業員が自主的に休まず、出勤しようとした場合にその従業員を強制的に休ませるならば休業手当を支払う必要が生じることもあります。

労働基準法第26条によると、

「使用者に責が帰すべき事由よる休業の場合には、平均賃金の60%を支払わなければならない」

と定められています。さらに、季節性インフルエンザの場合、労働安全衛生法と感染症予防法の定める就業制限には該当しません。そのため、季節性インフルエンザにかかった従業員を強制的に休ませる場合には企業に責任があるとされ、休業手当を支払う必要が生じるのです。

インフルエンザは感染力が強いので、感染した従業員が出勤したことで社内感染が広がることも考えられます。社内感染によって欠員が増えてしまえば業務にも影響をきたすので、インフルエンザに感染した社員を出勤させるのは避けたいところですよね。

そのため、インフルエンザに感染した従業員が出勤しようとした場合は強制的に休ませるのが一般的です。

 

新型インフルエンザの場合は休業手当を出す必要はない

 

インフルエンザに労働安全衛生法や感染症予防法が適用されるかどうかは、そのインフルエンザが季節性か新型かによって変わります

労働安全衛生法第68条や労働安全衛生規則第61条では、伝染病や疫病にかかった労働者の就業を禁止しています。ここで対象となる疾病とは、新型インフルエンザ、特定鳥インフルエンザ、結核、梅毒、淋疾、トラコーマ、流行性角膜炎などの伝染性疾患のことです。一方で、季節性インフルエンザは対象となりません

また、感染症予防法では、1類感染症〜3類感染症にかっかった病者に対して就業制限を定めています。1〜3類感染症には新型インフルエンザや特定鳥インフルエンザが含まれているので、就業制限などの予防措置をとることができます。しかし、季節性インフルエンザは5類感染症であるため、基本的に予防措置が取られることはありません。

これらの法律により、新型インフルエンザや特定鳥インフルエンザにかかった従業員を強制的に休ませる法的根拠が存在するため、「使用者に責が帰すべき事由よる休業の場合」とはならず、休業手当を支払う必要はありません。単に「欠勤扱い」として良いでしょう。

一方で、季節性インフルエンザに関しては従業員を強制的に休ませる法的根拠がないため、「使用者に責が帰すべき事由よる休業の場合」となり、休業手当を支払う必要が生じます

 

家族がインフルエンザにかかった従業員に対しての対処は?

 

家族がインフルエンザであると報告してきた従業員を企業の判断により強制的に休業させる場合は、「使用者に責が帰すべき事由よる休業の場合」となるため、平均賃金の60%である休業手当を支払う必要があります。

従業員の家族がインフルエンザにかかった場合、その従業員も感染している可能性が考えられます。もし、感染しているのに出勤したのならば、他の従業員に移して社内感染を広める原因にもなりかねます。

労働契約法第5条では、企業に対して従業員の生命及び健康等を保護するように配慮する義務(安全配慮義務)を定めています。

企業は、他の従業員の安全を確保するためにも、従業員に対して、家族がインフルエンザにかかった時の報告義務や自身がインフルエンザにかかった時の報告義務などを定めた就業規則をあらかじめ作成しておくと良いでしょう。

この就業規則には、休業手当の有無も記載しておくと手続きがスムーズに進むでしょう。

 

従業員を休職させる期間は?

 

企業側が強制的に従業員を休ませる場合は、一般的に医師の診断に基づいて期間を定めることが多いです。

体調不良の原因がわからない状態で長期の出勤停止を命じたり、医師の診断より長期の出勤停止を命じることはトラブルにもつながりかねません。そのため、従業員がインフルエンザにかかった疑いがある場合は、迅速に病院に行き診断書をとってもらい、その上で期間を決めることをお勧めします。

インフルエンザによる出勤停止期間の決定方法についても、就業規則に明記しておくと、その後のトラブルを避けられるでしょう。

 

インフルエンザでの欠勤を減らすために 〜予防接種の制度化〜

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インフルエンザが社内で広がり、欠勤者が増えてしまえば業務が滞ってしまいますよね。

インフルエンザによる人手不足を防ぐためには「予防接種の制度化」も一つの案として考えてみると良いでしょう。

しかし、制度化したら従業員にワクチン接種を強制させることができるという法令や指針は存在しません。制度化によって可能なことは、従業員に対して協力を要請することまでです。そのため、従業員にワクチンの効果や副作用についての説明をした上で協力を仰ぐのが良いでしょう。

また、インフルエンザのリスクを従業員に徹底することでリスク管理の重要性を認識してもらい、予防接種の費用については会社で負担するのが現実的と考えられます。

そうはいっても、予防接種をしたからインフルエンザを確実に防ぐことができるわけではありませんので、注意が必要です。日頃から従業員の労務管理や手洗い等の意識づけによって、健康管理や衛生管理を徹底する必要があります。

 

まとめ

 

いかがでしたでしょうか。以下に従業員がインフルエンザにかかった時のポイントをまとめます。

 

【有給休暇と欠勤・公休の違い】

有給休暇とは「従業員が事前に申請して出勤日の労働義務を免除し休むこと」

欠勤とは「体調不良などの従業員側の理由により休むこと」

公休とは「企業側の事情により休みとなること」

 

【従業員が季節性インフルエンザの場合】

・従業員が自主的に休むならば、欠勤扱い

・従業員が自主的に休み、かつ有給休暇を申請するならば有給休暇扱い

・従業員が自主的に休み、かつ有給休暇を申請したが正当な理由により有給休暇が取れないならば、欠勤扱い

・従業員に出勤の意思があるが企業が強制的に休ませるならば、休業手当を支払う

 

【従業員が新型インフルエンザ・特定鳥インフルエンザの場合】

・企業が強制的に休ませたとしても休業手当を支払う義務はない

 

【就業規則について】

・家族がインフルエンザにかかった場合や自身がかかった場合の報告義務はあらかじめ就業規則に明記しておく

・出勤停止を命じる期間については医師の診断に基づき、就業規則へ明記する

 

【インフルエンザ予防について】

予防接種の制度化により、従業員にワクチン接種の協力を仰ぐ

 

従業員の安全を保障することは企業の責任でもあります。社内でしっかりとルールを定めた上で、インフルエンザにかかった従業員の対処や社内感染の防止に努めると良いでしょう。

 

インフルエンザにかかった女性がホームに転落したニュースがSNSで物議を醸したように、近年従業員の働き方に注目が集まっています。働き方改革施行を始め、HR界では急速にトレンドが変化しているのです。
人事は時代の流れに合わせて従業員をサポートしなければなりません。

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Written by 採用GO 編集部 渡辺

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